遺言



言のすすめ

 相続によって、兄弟や親子間で紛争が発生することはよく聞く話です。また、争いにまではならなくとも、相続人間で話し合いがまとまらず、不動産の名義が、亡くなった人の名義のまま放置されてしまうケースも多々あります。

 これらの原因の一つに、亡くなった人の意思が分からないことが挙げられます。これは仲の良いご家族であっても、起こりうる問題です。
辛島伸一司法書士事務所は、遺言を作っておくことをお勧めします。のちの争いは、遺言によって未然に防ぐことが可能です。

可愛がっているペットが、自分が死んだ後にどうなるか考えたことがありますか?信頼できる人にペットの面倒を見てもらえたら良いですね。

 また、遺言を残しておこうという気持ちがあっても、「大袈裟だな」、「今度でいいか」、「死ぬまでには」などと、つい考えがちですが、遺言は何度でも書き直せますし、修正もできます。むしろ、書き直しや修正は是非行うべきです。財産は変化するものですから。
人間はいつか死ぬものですが、いつ死ぬかもわかりませんので、遺言は書けるうちに書いておきましょう。
さらに、死期が迫ってからの遺言は、効力が争われることもあります(遺言が無効になる)ので、健康で意思能力が十分ある時に、余裕を持って、遺言は作成しておきましょう。

 

特に

  紛争になる可能性が高いと考えられるパターン、また遺言が効力を発揮するパターンをいくつか挙げてみます。このような場合は特に遺言を残されることをお勧めします。

 

1 内縁の妻(夫)や配偶者(夫や妻)の連れ子に財産を残したい。 例えば、内縁関係にある妻は、どんなに長く生活を共にしていても、相続人にはなりません。連れ子も同様です。
 内縁の妻や連れ子に財産を残したい場合には、遺言を残しておけば大丈夫です。

 

2 生前、お世話になった人に財産を残したい。
 長年お世話になった人に財産を残したい場合でも、その人が相続人でない限り遺産を相続する権利はありません。
 しかし、遺言を残しておけば実現することは可能です。

 

3 夫婦間に子供がいない。
 夫婦の間に子供がいない場合、相続人は配偶者(妻または夫)と親、または配偶者(妻または夫)と兄弟となります。
相続人が妻と兄弟の場合で、さらに兄弟の中で既に死亡している人がいれば、その子供(甥や姪)が相続人になります。残された妻(または夫)は、普段交流の少ない親族と遺産分割の協議をしなければなりません。この場合は、話し合いがスムーズにいかないこともあります。
 しかし!遺言を残しておけば、協議なんかしなくていいんです!

 

4 離婚した妻(夫)との間の子供と現在の妻(夫)との間の子供がいる。
 どちらの子供もあなたの相続人であり、相続分の割合は同じです。
 例えば、先妻との間の子供とはまったく交流が無いが、後妻との間の子供とは同居している。自分が死んだあとも子供はこの家で暮らして行くはずだ・・・
 遺言が無ければ、交流のない子供と同居している子供が遺産分割協議をしなければなりません。
 心配しなくていいように、遺言を残しましょう。

 

 現在の妻(夫)との間に子供がいない場合も同じです。先妻の子供と現在の妻(夫)が遺産分割協議をしなければなりません。

 

 

5 子供同士が不仲など、相続人となるご家族同士の仲が良くない。 これが、一番怖いです。「犬神家の一族」はご存知ですね。
このような場合には将来の紛争を未然に防ぐためにも、遺言を残しておいたほうがいいでしょう。
・・・もっとも、犬神佐兵衛氏の場合は遺言状を残したことで問題が発生しましたので、あれは間違った遺言の使い方とも言えるでしょう。

 

 ところで、犬神佐兵衛の子供は松子、竹子、梅子のかしまし娘でしたが、母親はそれぞれ違っていました。そして、青沼静馬も母親が違う子供です。佐兵衛は婚姻したことがありませんから、松子、竹子、梅子、静馬の全員が非嫡出子です。遺言が無く、佐兵衛が静馬を認知していれば、この4人で遺産分割協議をしなければなりません。
 佐兵衛氏の死亡日は昭和二十X年二月とされていますが、これが昭和二十二年以前であれば、家督相続になります。佐兵衛さんは認知さえしていれば、目的のほとんどは達成できたかもしれませんね。ただし、金田一耕助の出番は多分なかったでしょう。なお、昭和51年の角川映画(石坂浩二の金田一)では佐兵衛の死亡は二十二年二月となっています。

 

以上、遺言が残してあれば、いいなという場面を挙げてみました。遺言の大切さが解っていただけたでしょうか。
辛島伸一司法書士事務所は遺言作成のお手伝いをします。

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